全部原価計算では固定製造間接費を製品へ適切に配賦し、売れた製品分は売上原価、未販売分は期末在庫に含めます。期中の変動原価計算では、固定製造費を期間の費用として扱い、販売数量に応じた限界利益を見やすくします。
原価計算基準30は、必要がある場合に総合原価計算で変動直接費・変動間接費のみを製品へ集計することを認めています。ただし会計年度末には、その期間に発生した固定費を期末仕掛品・製品と当年度の売上品に配賦します。
したがって「直接原価計算は制度会計では一切認められない」という理解も、「外部報告の期末在庫から固定製造費を常に除いてよい」という理解も適切ではありません。
ケースAでの3万円の利益差は、この固定製造費の繰延差です。数量だけでなく期首・期末の原価と配賦率も確認します。生産量と販売量が同じでも、期首と期末の在庫単価が違えば利益差が残ることがあります。
通常の販売目的の棚卸資産は、日本基準では収益性低下により正味売却価額が取得原価に基づく帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を切り下げます。異常な仕損等も通常の製造原価とは区別します。IFRSのIAS2には固定製造間接費を正常生産能力に基づき配分する規定があり、低操業の費用を在庫へ無制限に積み上げられるわけではありません。適用基準を分けて確認します。